まさかの事態

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だが、片付けも終盤に差し掛かった頃、セレナがいきなり涙目で私を連行した。 私を強引に空き教室に連れ込むと、おもむろに泣き出して抱き付いてきた。 「カナ、聞イテ! 勝司君、彼女イルって。セレナ悲シイ」 「そうなの? うわ、それは悲しいね。辛いね」 私はセレナの勢いに押されて、今までの気まずさは何処へやら、 普通に驚き、セレナに共感して応えていた。 「ソウ、他ノ大学にイルって。ツライ~。うわ~ん」 「そっかそっか。悲しいね。ヨシヨシ」 「ウン。セレナ、勝司君はカナを好きニナッタと思ッタ。  勘違イしてカナにヒドイコト言った。ゴメンネ」 「いいって。私もセレナと征彰君に勝手に嫉妬したし。ごめんね」 「ゴメンナサイ~。悲シイ~」 「ヨシヨシ。謝りながら悲しむって、あんた器用ね~」 (て、ことは、勝司君が私をあの時すごく気にしてくれたのも  ただのリーダー精神からか。  そりゃそうよね。私相手にそんな訳ないよね。ハハハ) セレナを慰めながらも、私は一人不謹慎に少しだけ残念がった。
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