まさかの事態

17/20
前へ
/20ページ
次へ
セレナが落ち着いてから、私達はサークルの処に戻った。 片付けはほぼ終わり、後は、余った食材で打上げパーティーだ。 留学生は金銭的に余裕がない人も多い。 だから、このサークルでは、例年、 学祭で用いた食材を使うことで、パーティー会費をゼロにしていた。 儲けた利益は学祭参加費の立替や活動費に回される。 今年も同じ仕様だ。 片付けから手が空いたメンバーは、公園での打上げ準備に入っていた。 私達もそっちを手伝った。 余った食材を屋台で使っていた鉄板や火で調理し、 できたモノから順番に、近くの公園で場所取りをしているメンバーの処へ持っていく。 各種多国籍な料理が揃うと同時に、適当に出来上がった珍味な創作料理も出てくる。 そして、打上げ中、今年はそんな珍味な中から悲鳴が上がった。 「キャー! 虫! 虫が入ッテイル!」 ある子が放り投げた揚げ巻から見事にこんがり揚がったゴキブリが出てきた。 それを見た他の子も叫ぶ。 「うわっ。よりによってゴキブリじゃん。キモッ」 だが、別の子はしれっと言った。 「大丈夫! シッカリ揚げたカラ、オイシイヨ」 「大丈夫ジャナイよ! ゴキブリだヨ、ゴキブリ」 「何言ッテンノ? ゴキブリ、食ベレル。アンタの国デモ食ベル」 「食えねえし! だったら、おまえ食えよ」 「イイヨ。チョウダイ」 「ヤック(汚っ)。本当ニ食ベタ」
/20ページ

最初のコメントを投稿しよう!

4人が本棚に入れています
本棚に追加