まさかの事態

18/20
前へ
/20ページ
次へ
辺りは食せる派と食せない派に別れてのケンカになりつつあった。 セレナは自然と食せる派に寄り、あの時と同様に普通に食べた。 私は打上げの料理にGが入れられていた事にはげっそりした。 だが、あの日に免疫ができたのか、 恐怖で叫ぶでもなく、逃げるでもなく、 ただただ、気持ち悪さと疲れがどっと出ただけだった。 ふと横に目をやると、征彰君が顔を全開に引きつらせていた。 セレナがアレを食した姿を見て、ショックを受けてしまったようだ。 (そりゃ、好きな子がアレを平気で口に含むのはショックよね) だが、その後の彼の言動は、私を無性に苛立たせた。 彼は、セレナ達に、言ってはいけない言い方で罵倒し始めたのだ。 「俺らはアフリカやアジア奥地の原住民とかとは違うんだよ」 差別に聞こえた。 セレナを貶めた。 そんな人だったなんて。 彼を好きでいた自分にもショックだった。 そして、そのショックのままに、気が付いたら私は叫んでいた。 「いい加減にして!    皆いろんな食事の事情を抱えているでしょ!   これもそれと一緒じゃないの?   食べられる人は食べて、食べられない人は食べない。    それじゃダメなの?」 辺りは急にシーンとした。
/20ページ

最初のコメントを投稿しよう!

4人が本棚に入れています
本棚に追加