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(え? 私、今何を言った?)
慌ててオドオドと辺りを見回す。
皆は静まり返り、驚きで私を見ていた。
そこに、ふと、一つの拍手が起こった。
勝司君が私の元にやって来た。
「虫で気絶するヤツがよく言った!」
つられてポツポツと拍手が起きた。
(え? なになに?)
気後れした私は隠れる処を捜したが、
勝司君に肩を叩かれて尚更注目の的になっていく。
そんな私を尻目に、勝司君は征彰君に向けて言った。
「征彰。言い過ぎだ。差別になるぞ。気をつけろ」
征彰君は気まずく目線をずらした。
勝司君は続けて、その料理担当者に向けて訊いた。
「その辺のゴキブリを食べるのは、衛生上良くないと訊くが、本当に大丈夫なのか?」
訊かれた子は一瞬だけキョトンとした後、
ムダに笑顔全開で親指を立てて答えた。
「バイ菌コロスくらいにコンガリ揚げたカラ大丈夫!」
勝司君はその力強い頷きに「そっか」とだけいうと、
今度は皆を向いた。
「虫は好き嫌いがはっきり分かれるだろう。食えるヤツだけ食え。
後、一応、免疫力強いと自信あるヤツだけな。
嫌いなヤツや腹壊しやすいヤツが間違って食わねえように分けとけよ」
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