まさかの事態

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「お、もう皆揃っているな。お待たせ。ミーティング始めんぞ」 勝司君がやってきて、号令がかかった。 彼がこのサークルの現リーダーだ。 うまく説明できないが、生まれながらのリーダーと言った感じがにじみ出ている人だ。 このサークルでも、彼がリーダーをやるのが自然の流れで決まった。 「カナ、悪いが、これ配ってくれ」 勝司君はプリントの山を私に渡した。今日の資料だ。 私はそれを受け取ると、近い人から配り始めた。 「そういえば、カナ、虫を見て気絶したらしいな」 いきなり飛んできたセリフに勝司君を振り返る。 「学部のヤツが言ってたぞ」 無邪気な笑みで続けられた言葉に、私はぶっきら棒に「忘れて」とだけ言うと、 「意外と可愛いとこあんのな」というセリフと皆の笑った視線を無視して プリントを配った。 (どんだけ言いふらしたのよ)と、セレナを睨み付けると、 何故か彼女は私を不機嫌な顔で見ていた。 (何よ。なんであんたが睨んでんのよ)
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