問題です。

一 間違い

　バレンタインデー。

　おお、呪われし悪しき風習。

　二月十四日が呪われた日と言われるようになったのはなぜだ。

　原因はどこにある？

　あの樹皮みたいな色した菓子か？
　あるいはその菓子に付加価値を与えた菓子メーカーの連中か？
　もしくはそんな愚策に踊らされ、校内の風紀を著しく乱している若者達が悪いのか。
　そもそも、高校は樹皮色菓子の持参禁止ではないのか。
　高潔なる高校生として、菓子メーカーに踊らされることが恥ずかしくないのか。

　菓子如きを貰っただの貰わないだの、そんな事で人の優劣が決められてたまるものか。

　だが、決まってしまうんだ。
　容赦無く。そして明確に。
　それが二月十四日と言う奴なんだ。

　あっちでもこっちでも盛りのついた野良猫共が。
　外は寒い。でも、二人の心はあっつあつなんだよってか。
　そのまま燃え尽きて死んでしまえ。

　忌まわしきカップル。
　呪われし悪魔の子達に神の裁きを。

　もちろん毎年収穫はゼロさ。
　いや、別に悔しくないけどね。
　勝者になったところで、後で三倍返しね、なんつって身包み剥がされる予告までされるんだから。
　実に恐ろしい日だよ。

　俺はそんな日に関わらないため、毎年一人静かに部室で本を読むと決めているのだ。