第一章 決起3

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「蕪雑は、どんな場所がいいと考えているのか、教えてくれないか」  ううんと唸りながら、蕪雑が腕を組む。 「そう言われてもなぁ……。国を造るなんざ、考えてもみなかったからよぉ」 「君の仲間がどんな人間なのか、僕はなにも知らないんだ。彼等にとって、どんなところが住みやすいのかを、教えてくれないか」 「アイツらにとって、住みやすい場所かぁ……。そうさなぁ。あんまり甲柄と離れちまうと、家族なんかが府の中に残っているって奴がすくなくねぇから、遠くねぇのがいいな。でも、近すぎると面倒なことになりそうだしよぉ」  眉間にシワを寄せて、蕪雑が地図をながめる。 「ここが、甲柄なんだろ? そんで、ここが俺達のアジトのある山」 「ああ」 「ふうん……。なあ、烏有。この川は、どんぐれぇ遠いんだ」  蕪雑が指したのは、この山をはさんで甲柄と反対側になる土地だった。 「ここから甲柄に降りるのと、そう変わりないはずだよ。甲柄からとなると、三日ほどの距離だろうね」 「三日かぁ。となると、ここと山のふもとで二回、野宿をすりゃあ辿りつけるのか」 「単純に考えれば、そうなるだろうね」 「どういうことだ?」 「人によっては山道が辛くて、もっと時間がかかる場合もあるだろうと言っているんだよ」     
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