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「そうか、年寄りや子どもなんかだと、もっと時間がかかるかもしんねぇな。……荷馬車かロバかが手にはいりゃあ、いいんだけどなぁ。ちぃっとばかし、大変か」
どうしたもんかとつぶやく蕪雑に、烏有は首をかしげた。
「ここの仲間には、そういう人たちが大勢いるのかい。僕が会ったのは、襲われたときに見た、五人ほどだけだけど」
「ああ。あんときは、悪かったな。ひとりで山に入ってきたからよぉ、こりゃあいいやってんで、腕っ節の強いのを連れて出てったんだよ。ちょうど、狩りに出ていたついでだったしな」
眉を下げて、申し訳なさそうに笑う蕪雑に、烏有はあきれた。
「襲われたときも思ったけれど、蕪雑たちは本当に山賊をしてきたのかい」
「おう。俺が十七んときに牢破りをしたから、かれこれ六年になるな」
「六年も山賊をしておいて、そんな行き当たりばったりな行動のまま、討伐もされずに捨ておかれていたのか」
驚く烏有に、蕪雑がキョトンとする。
「そういやあ、そうだな。なんで討伐隊が出てこなかったんだろうなぁ」
「誰かを襲うとき、どんなふうにして襲っていたのか、教えてくれないか」
「どんなって……、烏有にしたのと変わらねぇよ」
「取り囲んで脅して、薬があれば分けてくれと言われたね。そんなふうにして、山道をいく荷馬車や旅人を呼び止めていたのかい」
「おう」
「刃傷沙汰になったことは?」
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