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その答えに、烏有は笑い続ける。ひとしきり烏有が笑い終えるまで、蕪雑はムスッと地図に目を落としていた。
「蕪雑、ほんとうに君は面白いよ。……ああ。君ならきっと、すばらしい国を興せそうだ」
「その言い方だと、俺がひとりで国を造ろうとしているみてぇじゃねぇか。国は、俺と烏有と、ほかの奴等の全員で造るんだろう」
「そう……、そうだね、蕪雑。ああ、そうだ。国を造ろう。皆で、すばらしい国を」
そのためなら、僕は使える手は惜しみなく提供するよ。
烏有は胸中で蕪雑に告げつつ、そっと胸元に手を当てて、翡翠の印を確かめた。
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