第一章 決起4

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 蕪雑が少年に向かってとりなし、青年を労う。袁燕と呼ばれた少年は軽く肩をすくめて、好意的な目を烏有に向け、剛袁と呼ばれた青年は、軽く蕪雑に頭を下げた。 「烏有、大丈夫か」 「ああ……。すまない、蕪雑。まさか、これほど道がないとは思わなかった」 「ははっ。山の道ってのは、人や獣が通ってこそ、できるもんだ。獣の道があったって、ちいせぇモンだと俺等にとっちゃ、ないのと変わらねぇからな」 「まったく。あの兄弟が共にきてくれていなかったらと思うと、恐ろしいよ。野宿の荷物や枝払いを、彼等が引き受けてくれていなければ、もっと時間がかかっていただろうね」 「袁燕は身軽だから、木の上を行って先を見つけてくるし、剛袁は体力があるからな。あの兄弟はいつも、ふたりで獣を追ってんだよ」 「なるほど。弟が獲物を探し、兄がそれを仕留める、というやり方なんだね。それで同行者を彼等に決めたというわけか。――僕の監視も兼ねて」  それを聞き、蕪雑が申し分けなさそうに眉を下げた。 「すまねぇな」 「なにがだい?」 「俺ぁ、烏有を信用してんだぜ。酒と愚痴の相手をしてくれた上に、今後の提案もしてくれたんだからよぉ」 「本当に、蕪雑は心配になるほど、まっさらだな」 「ん?」     
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