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「いつの間にか、本物の山賊になっちまったんだよ」
「はは」
「笑いごとじゃねぇよ」
「ああ、すまない。……つまり、ここに住んでいる仲間は、濡れ衣を着せられた蕪雑を救った者たち、ということか」
「そういうのもいるけどな。なんか、府を追ン出された奴とか、妙な嫌疑をかけられて逃げ出して、ここに身を寄せるようになった奴だとか、そういうのもいてよぉ。どんどん人数がふくれちまって、そうこうしているうちに俺が頭目になっちまってたんだよなぁ。俺より頭がいい奴も、年上の奴もいるのによぉ」
わけがわからねぇとぼやく蕪雑に、烏有はうなずいた。
「自然と中心になったということは、人徳があるのだろうね」
「へっ?」
蕪雑が目を丸くする。
「そういうことだろう」
烏有が薄くほほえむと、いやいやと顔の前で手を振りつつ、蕪雑は照れた。
「そんなに、偉かぁねぇよ。もしそんなふうなら、アイツらをひきつれて、まっとうな仕事のできる府に、落ち着いているさ。甲柄のほかに行けば、甲柄の法は届かねぇからな」
うんうんと、蕪雑は自分の言葉に相づちを打つ。
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