第一章 決起1

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「いつの間にか、本物の山賊になっちまったんだよ」 「はは」 「笑いごとじゃねぇよ」 「ああ、すまない。……つまり、ここに住んでいる仲間は、濡れ衣を着せられた蕪雑を救った者たち、ということか」 「そういうのもいるけどな。なんか、府を追ン出された奴とか、妙な嫌疑をかけられて逃げ出して、ここに身を寄せるようになった奴だとか、そういうのもいてよぉ。どんどん人数がふくれちまって、そうこうしているうちに俺が頭目になっちまってたんだよなぁ。俺より頭がいい奴も、年上の奴もいるのによぉ」  わけがわからねぇとぼやく蕪雑に、烏有はうなずいた。 「自然と中心になったということは、人徳があるのだろうね」 「へっ?」  蕪雑が目を丸くする。 「そういうことだろう」  烏有が薄くほほえむと、いやいやと顔の前で手を振りつつ、蕪雑は照れた。 「そんなに、偉かぁねぇよ。もしそんなふうなら、アイツらをひきつれて、まっとうな仕事のできる府に、落ち着いているさ。甲柄のほかに行けば、甲柄の法は届かねぇからな」  うんうんと、蕪雑は自分の言葉に相づちを打つ。     
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