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「申皇のおわす岐に、文を書くんだ。府を造る許可をいただきたい、と」
蕪雑がポカンとする。
「どの府もはじめは、ちいさな村だった。それが大きくなり力を持つと、国になる。そうなった国を府と定めるべく、申皇からの使いであり、連絡役となる領主が派遣される」
「そうなのか」
「ああ」
感心したように、蕪雑がうめいた。
「俺ぁ、はじめっから府があるモンだと思っていたぜ。そんなら、どっかの府に属している離れ村が、でっかくなって新しい府になるってことも、ありうるのか」
「ある。もともと各地の府は、そのようにしてできたんだ。小さな村が力をつけて、豪族が生まれ、それらが協力したり駆逐しあって村を大きくした結果、神領としての府に任じられ、領主が据えられる」
「へぇー。そんなら、俺らが村を造って、そいつがでっかくなっていったら、府になれるってことか」
「そうだよ」
「けどよぉ、烏有」
蕪雑は干し肉を烏有に差し出しながら、疑問を述べた。
「府になるには、岐から領主がやってこなきゃ、いけねぇんだろ? だったら、村を造っても、領主が横暴な奴だったら、おんなじことになるんじゃねぇか」
「それは心配ないよ。実質的な統治をするのは、豪族だからね」
よくわからないと、蕪雑が首をかしげる。
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