第一章 決起1

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「領主はあくまでも、土地を治める豪族と岐の橋渡し。というか、申皇の定められし法の監視役と言ったほうがいいかな。だから、府を造ると届け出て、先に恭順を行うと伝えておけばいい。そうして下地を作っておけば、好意的な領主を迎えられるはずだよ」 「そんなんで、承知されるのか? もともと大地は申皇のモンだろう。恭順を示すもなにも、はなっから申皇のモンなんだから、村ができようが豪族が興ろうが、一緒じゃねぇか」 「それならどうして、岐に任命された領主が据えられる必要があるんだい。豪族がそのまま、大きくなった村を府にせず、運営をすればいいはずだろう」  蕪雑は眉間にシワを寄せ、腕を組んで唇をとがらせた。 「さっぱり、わからねぇな」 「天領だと示さなければ、悪心の徒とみなされるからだよ。だから国と呼ばれるほどに大きくなった村の豪族は、領主を迎えようとする。中枢も、恭順を示さない国は不穏だとして、府や中枢との交易などに制限を設けたり、災厄に見舞われた場合にも救出をしないよう、各所の府に定めていたりする。そうならないために、これから造る村が、豪族が興るほどの国と育っても、府とするつもりであると先に伝えておけばいい。そして中枢の法に沿った統治をすれば、建設中でも府の持つ権利を受けられるはずだよ」  ふうんと、わかったような、わからないような鼻息を漏らした蕪雑が、天井に視線を投げる。     
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