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「う、うあー!」
明治加賀麻はすすり泣く。
泣きながらコーヒーと言う名のカフェオレを啜る。
「ふはは、本当にお前は最っ低だぜ…ふぅふぅ。」
一文字微太亜は何だか高ぶっている。
「あ、あのう微太亜くん折角で悪いんだけどチョコの方も渡してくれませんかね?」
「名前で呼ぶなし!」
先程よりは幾分顔色がマシになった明治加賀麻が追加注文をよこしてきた。
ココアとチョコレートに明確な違いは無い。
やや薄めた飲むチョコレートをココアと呼び、固形ココア菓子をチョコと表記しているに過ぎない。
現在、一文字微太亜の鞄にはチョコレートが入っている。昨晩悪戦苦闘した努力の結晶。
明治加賀麻への怨念の塊が。
ロッカーへ忍ばせようとしていた匿名の贈答品が。
今ここで渡してしまおうか。
モリナガクリコの正体が自分だと名乗り出たならば、加賀麻は何と言うだろうか?
神の如く崇める?
或いは俺を怒り任せに罵倒する?
俺達はクラスメイトで親友で、蹴落とし合ったライバル。
このギリギリで保って来たフレメニーな関係はいずれ終わるだろう。
今日はバレンタインデー。
陰謀を自らバラすのも悪く無い。
[了]
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