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彼が言っていた通りの情報が記載してあった。
半導体の会社を謳っている。
もしかしたら宝石の研磨等のプログラミング等々、考えたら、
的を得た繋がりはあるのかもしれない。
しかし、私の中で警告がする。
コイツは違う。コイツは危険だ、と。
「夫に用でしたら夫の会社に行ってください。
彼はまだ帰って来ていないです」
「ええ、本当はそうしたいのですが、生憎と、ご主人行方不明ですよね?
ですから私もこうして仕方なく奥さん、貴女を訪ねたのです」
私の些細な抵抗はすぐに打ち返された。
「パパ、行方不明なの?」
昇が下から見上げてきた。
私はハッとして、慌てて笑顔を取り繕った。
「そんな事ないよ。長い出張よ」
そして、ぐずる昇をテレビの方に行かせると、訪問者が映る画面に向き直った。
「私に何の用ですか?」
頭の中で警報が盛大に鳴り響いても、私はこの男を追い返す事はしなかった。
「ですから、貴女のご主人についてお話があります。
私の情報を合わせると、もしかしたら彼の居場所が分かるかもしれません」
私は喉を鳴らすと、次の瞬間、コートと家の鍵を手にしていた。
「わかったわ。
でもここには息子もいるから近くのカフェでお話を聞きます」
そして、昇に留守を頼むと、足早に玄関を飛び出した。
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