0.夫の失踪

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彼が言っていた通りの情報が記載してあった。 半導体の会社を謳っている。 もしかしたら宝石の研磨等のプログラミング等々、考えたら、 的を得た繋がりはあるのかもしれない。 しかし、私の中で警告がする。 コイツは違う。コイツは危険だ、と。 「夫に用でしたら夫の会社に行ってください。  彼はまだ帰って来ていないです」 「ええ、本当はそうしたいのですが、生憎と、ご主人行方不明ですよね?   ですから私もこうして仕方なく奥さん、貴女を訪ねたのです」 私の些細な抵抗はすぐに打ち返された。 「パパ、行方不明なの?」 昇が下から見上げてきた。 私はハッとして、慌てて笑顔を取り繕った。 「そんな事ないよ。長い出張よ」 そして、ぐずる昇をテレビの方に行かせると、訪問者が映る画面に向き直った。 「私に何の用ですか?」 頭の中で警報が盛大に鳴り響いても、私はこの男を追い返す事はしなかった。 「ですから、貴女のご主人についてお話があります。  私の情報を合わせると、もしかしたら彼の居場所が分かるかもしれません」 私は喉を鳴らすと、次の瞬間、コートと家の鍵を手にしていた。 「わかったわ。  でもここには息子もいるから近くのカフェでお話を聞きます」   そして、昇に留守を頼むと、足早に玄関を飛び出した。
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