2.それから

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私はと言えば、女友達と2人、 服装なんか適当で。 髪だって豪快に跳ねていた。 ああ、恥ずかしい、死んでしまいたい。 羞恥心の後には、 激しい後悔が襲って来る。 …そうか、囚われていたのは私だけ。 芳は新しい恋を楽しんでいて、 とっくに過去のことなんて忘れてるのに。 私は自分に都合の良いシナリオを書いて、 現実から目を背けていただけじゃないか。 混乱した私は予定していた映画を観ずに、 逃げるようにしてその場から立ち去り。 キョトンとする女友達に 長々と事情を説明した。 すると私に同情した彼女は、 男性を紹介すると言い出すのだ。 『雅ッ、元カレを見返してやりなさい! 私の幼馴染のお兄さんの友達が、 たまたまウチの大学に通っているの。 その人、顔面偏差値が異常に高いから、 紹介して貰えるようセッティングするわ』 幼馴染の兄の友人って、遠いな。 ていうかさ、人の優劣を どうして容姿で決めちゃうワケ? …せっかく親身に なってくれているというのに。 私の中の皮肉屋の部分が あれこれ突っ込みを入れたが、 それと同時に安心もしていた。 これでようやく芳のことを忘れられる。 新しい恋にどっぷり嵌ってしまおうと。
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