2.それから

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…… 話はトントン拍子に進み、 翌週にはもう対面することに。 私は語彙に乏しいので 上手く表現出来ないのだが、 いわゆる塩系のシュッとした顔立ちで、 そこに佇んでいるだけで絵になる人だ。 これがまた、 読書する時や映画を観る時だけ 眼鏡を掛けるのだと。 ただでさえ美形なのに、 それに眼鏡が加わるなんて、 その破壊力たるやハンパ無く。 長身で頭も良く、 真面目でしかも優しい。 これにはさすがの私も おかしいと思うのだ。 『こんな好物件の男に、 どうして彼女がいないのか』と。 …その謎はスグに解けた。 確かに優しいのだが、 その優しさが曲者で。 常にこちらの顔色を伺い、 自分では何も決めてくれない。 どの映画を観るか、 席はどこにするのか、 昼食は何を食べるのか、 とにかく全部丸投げしてくる。 どうしたいのかは言わず、 後出しジャンケンみたいな会話で 気を遣いまくるのだ。 それは一人遊びをしているような 気色悪い感覚に襲われ、 思わず私は本音を吐いてしまう。 「あまり気を遣わないでください。 そんな風にされたら、 こっちまで疲れちゃいますよ」
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