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初めて見る芳の真剣な表情に、
私は軽く苦笑し。
黙って別れを受け入れた。
正直に言うと、
自分でもよく分からなかったのだ。
芳を友達として好きなのか、
それとも、異性として好きなのか。
キスはしたし、それ以上のこともした。
でも、心と体のバランスは
いつでもチグハグで。
どんどん体だけが先に進んでいくような
そんな違和感をずっと抱えていて。
…そして、離れてようやく気付くのだ。
別れた直後は、
自分の感情と向き合うヒマさえ無くて。
なぜなら周囲が
放っておいてくれなかったからで。
>雅、カワイソ~!!
>元気出してね。井崎なんか忘れちゃえ。
>ねえ、カラオケでもして騒ごうよッ。
“彼氏を奪われた可哀想な女”という
レッテルがどこへ行っても付き纏い、
それは想像以上に私を傷つけた。
田崎さんがもっと平凡な容姿だったなら、
これほど皆んなも騒がなかったのだろう。
でも、彼女はあまりにも可愛すぎた。
自分の好きな男子が
田崎さんにフラれていたとか、
交際中の彼氏が田崎さん信者だったとか、
日頃からそんな恨みを抱いていた
私とは無関係の女子達が、
寄ってたかって私を祭り上げる。
>可哀想な雅。
>1年も付き合った大好きな彼氏を
>あんな女に奪われるなんて。
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