1.始まりと終わり

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初めて見る芳の真剣な表情に、 私は軽く苦笑し。 黙って別れを受け入れた。 正直に言うと、 自分でもよく分からなかったのだ。 芳を友達として好きなのか、 それとも、異性として好きなのか。 キスはしたし、それ以上のこともした。 でも、心と体のバランスは いつでもチグハグで。 どんどん体だけが先に進んでいくような そんな違和感をずっと抱えていて。 …そして、離れてようやく気付くのだ。 別れた直後は、 自分の感情と向き合うヒマさえ無くて。 なぜなら周囲が 放っておいてくれなかったからで。 >雅、カワイソ~!! >元気出してね。井崎なんか忘れちゃえ。 >ねえ、カラオケでもして騒ごうよッ。 “彼氏を奪われた可哀想な女”という レッテルがどこへ行っても付き纏い、 それは想像以上に私を傷つけた。 田崎さんがもっと平凡な容姿だったなら、 これほど皆んなも騒がなかったのだろう。 でも、彼女はあまりにも可愛すぎた。 自分の好きな男子が 田崎さんにフラれていたとか、 交際中の彼氏が田崎さん信者だったとか、 日頃からそんな恨みを抱いていた 私とは無関係の女子達が、 寄ってたかって私を祭り上げる。 >可哀想な雅。 >1年も付き合った大好きな彼氏を >あんな女に奪われるなんて。
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