第2章 先輩の彼女

5/38
前へ
/38ページ
次へ
「先輩、疲れてないんですか?」 「疲れてるよ。だから書店周り終わったら、どこかで寝てくる。」 思わず吹き出してしまう。 「どこかって、どこですか?」 「さあ。」 そう言えば、公園でよく昼間寝てるサラリーマンを見るけれど、あれってこう言う事なのかな。 「じゃあ、頑張れよ。斎藤。」 「はい、先輩も。」 「おう!」 朝、書店周りに出る前に、間野さんと話せるなんて、ラッキー。 ちょっと足取りも軽く物品庫から出て、昨日取りに行った本を片手に、部長の元へ。 「部長。昨日の書店にこの本を置いて、その足で書店周りに行って来ます。」 「ああ。今日も頼むよ。」 「はい。」 朝から機嫌がいい私を、周りの皆が、ジーッと見てくる。 「ん?」 「いや、行ってらっしゃい。」 「はい。行って来ます。」 こんな気分で仕事できるなんて、いつぶりだろう? もしかして、社会人になって初めて?
/38ページ

最初のコメントを投稿しよう!

57人が本棚に入れています
本棚に追加