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バババババン!
本物の銃の音というものが、こんなにもチープな音であるという事を始めて知る少女。血だらけになりながらも尚、動く男に絶乃は額にゼロ距離で別の銃の引き金を引いた。とっさに少女は顔をそむける。
「ぐっばい!」
男の頭に大きな穴が開き、トマトをつぶしたような光景と共にゆっくりと男は倒れる。それに絶乃はゲラゲラと笑うと、半分程食べていたハンバーガーを再び食べだす。
「さてと、ボクは御剣絶乃。こういう連中を始末するような仕事をしている一応探偵だよ」
少女は、男の死体を見ないようにしながら、絶乃を見て自己紹介をした。
「助けてくれてありがとございます。私は赤倉琴子、学生です。でも、人を……」
「元々死んでた死体だよ。それを動かない死体に変えただけさ、気にする事はない。それよりボクはタダ働きをしない主義なんだ。ボクは一律一千万からで仕事を請け負っているんだけど、君払えるの? まぁ学生だし二百万にまけておいてあげようかな」
少女は少し深呼吸をする。
「すごい大金ですけど、お金は少しずつ返します」
「素直でいいね。でも君、琴子君だったかい? また同じような奴に狙われるよ? その都度ボクに二百万の借金をするのかい?」
「えっ?」
絶乃は自分の首を指さし、その指を琴子へと向ける。自分の首に何かがついているというジェスチャーと分かると手鏡を取り出してそれを見た。
自分の首元に十字架のような交差した印が入っている。ハンカチでこすってみてもそれは消えない。
「琴子君、君誰かに呪われてるよ」
それを聞いた琴子段々と自分の顔が青ざめていく様子を手鏡を通してみていた。そんな琴子に絶乃は妙に艶やかな表情で提案した。
「ボクのところで働くかい? 呪いも解いてあげるし、ボクへの借金は働いて返せばいい。丁度人手が不足していた事だしね。ボクは歓迎するよ」
それは断る事のできない宣告。それはそれは無邪気な笑顔で手を差し出した。
琴子は、これはとってはいけない手だと何となく理解していたが、自分にそれを拒絶する権利はない。
絶乃は自分の生殺与奪権を握っている。
「やります」
「賢明な判断だ。悪魔に魂を売るとろくなことはないけど、鬼に魂を預けるとろくなことがあるからね」
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