第一章 御剣絶乃という女

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「よもや言葉も通じんとは、人間。そこまで落ちぶれたか? 少し痛い目を見てもらうとしよう! ここは二百年の人々の想いが残っているのだ!」  男の姿がオオカミのような獣の姿と変わる。それを見てその人物はわくわくしたような、狂気的な表情でその様子を眺めていた。 「二百年? そんなのどーでもいいじゃん! リオンモールの方が楽しいしさぁ!」  獣の姿となった男をその人物は吹っ飛ばした。それに獣の姿になった男が驚く。そして、少し怯えたような表情で言った。 「お前はなんだ! 私はここの土地神、もし私を殺すような事があれば」 「知らないから、土地神殺したら、言う事聞く別の奴をここに置けばいーじゃん! 違う? もうリオングループからしたら、君邪魔なん!」  その人物に瘴気が集まる。  その様子を見て土地神は呟く。 「お前はなんだ?」 「ボクかい? 御剣絶乃(みつるぎぜの)! あぁ、君達化物にはこう言った方がよくわかるかな? 鬼神第六位・絶命鬼ってさぁ!」  絶乃がそう言うと、その土地神もろとも廃村を荒野に変えた。そして、それから一年経たずして、リオンのショッピングモールは聳える事になる。  土地神かわりに、絶乃が無理やりこの地に連れてきて封印した化物を地盤として、そこは今もにぎわっていた。  御剣六家。  その中でも破門された一つの家。  鬼を喰らった御剣。  御剣絶乃が請け負う、同じ世界で起きている異世界のように狂った物語。
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