0人が本棚に入れています
本棚に追加
そして、その思考は自分の腹の音によって強制終了させられてしまった。ぐぅーと鳴る自分の腹をよしよしと撫でると絶乃は車を出してショッピングモールを後にする。
国道を適当に流すと絶乃はどこにでもある一軒のチェーン店のハンバーガーショップを見つける。
そのドライブスルーで適当にセットを購入し、絶乃は自分の愛しの空間である車の中では臭いがつくタバコはおろか食事等絶対にしない。
海でも見ながらジャンクなディナーと洒落こもうかと浜へ向けて車を走らせる。
窓の外に見えるヨットハーバーを景色として楽しみ、適当なところに絶乃は路上駐車をすると、少し肌寒い風を楽しみながら夜の海を見つめてハンバーガーに牙を入れた。
「最近はこういうのもぐっと美味しくなったなぁ」
はぐはぐと小さな一口でハンバーガーを食べていると、若い女性の助けを求める声が響いた。
所謂、絹を裂くような叫び声というやつである。
「男女のもつれによる喧嘩か、変質者か、通り魔か……あるいは、人ならざる何かかな? まぁボクには関係ないや」
少し油でしなっているフライドポテトを口に入れながら、ぼーっと夜の海に見とれていると着衣の乱れた少女が絶乃にすがるような目をして助けを求めてきた
「お願いです! 警察を呼んでください! あの、おかしくなった人が……!いやぁあああ!」
「は? あぁ、不死者か」
怯えきってきる少女に反して絶乃はコーラーを一口飲む。微妙に炭酸が抜けたそれがなんと美味い物かと飲んでいるその絶乃を不思議そうな生き物を見るように見つめている。
「飲む? クラッシュアイスが入ったコーラはぼったくり価格でも美味いよ?」
少女は首を横に振り、自分が今一番恐怖している存在がゆっくりと近づいてきている事を思い出す。
「キャアアア!」
逃げ出そうとする少女の手を掴み絶乃は離さない。少女が見た絶乃は楽しそうに笑っていた。迫りくる明らかにおかしな男。
「助けてあげようか?」
少女は脅迫にもにた絶乃の問いかけにただただ頷くしかなかった。もうあと5メートルに迫っている男に向けて、絶乃は懐から出した銃を向けてその引き金を引いた。
バン!
「オォオオオ……」
一瞬のけぞったような動きを見せる男だったが、再び体制を立て直す。それに向けて絶乃は銃を連射した。
最初のコメントを投稿しよう!