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……私はずっと、怖かった。
自分から言ったら、断られるんじゃないか。捨てられるんじゃないか。そう思っていた。もともと彼に結婚願望なんてあるのかも分からなかったし、時が経つにつれ余計に怖くて聞くことができなくなっていた。
でもあの日、勇気を出してよかった。直前まで言うかどうか迷っていた。だけれどあの時、占い師のお婆さんに背中を押された。
何度も繰り返してきたバレンタインだったが、チョコレートに対する彼の反応はいつも素っ気ない。それは彼の性格だと分かっていても、淋しかった。だけれど今年、ほんの少しの勇気を出したおかげで私はバレンタインが好きになった。
『男の夢は生涯叶わず』――お婆さんにはああ言われたけれど、怜ちゃんはきっと実力でその未来を変えた。そして、あの日勇気を出した私もその一端を担えてたのならうれしいと思う。
バレンタインに私がペアで買った、指輪を外す。
新しい指輪を嵌められ、また涙が出た。おもちゃの指輪でもよかったのに、と私は思わず呟いた。
この先も生活は変わらないかもしれない。
だけれど、この生活が永遠に続けばいいと願っていた。
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