いつまでも君と

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  『私と結婚してください』  その言葉を、私から言おう。  本当は、ずっと迷っていた。後悔は無いと思いながらも、ずっと悩み続けていた。本当に彼についていっていいのか、いけるのか。でも、決心した。  結果はどうなるかは分からないけど。案外、私のことなんて便利な同居人としか思っていなくて、あっさりと断られるか捨てられるかもしれないけれど。  私のただひとつの我儘。それを待っているのではなく、今年、私から伝えようと思った。  お婆さんはにこにこと笑っている。 「そうさね。自由におやり。あんたはきっと、幸せになるよ。……この占いはね、何も未来予知なわけじゃない。現段階においての未来の可能性なんだ。だから、あんたの意識や行動で未来はなんとでも変わる。今年一歩踏み出したら、何かが変わるかもしれないね」  お婆さんの言葉に、胸が暖かくなった。一人で悩んでいて、本当は怖かった。でも、励まされた気がした。 「……お婆さん、不思議な人ですね。ずっとここで占いをされているんですか? ここはよく通りますが、初めてお見かけしました」 「ふふ、そうだろうね。私は昔から、むかーしっからここにいるのさ。この辺が畑だった頃からかね。それで趣味で、通りがかった気になる人の占いをしたり相談に乗ったりする。楽しいもんさ。私も昔は男にはいろいろと困らせられたものだったからね。戦時前だったかな? だからあんたのことがちょっと気になったんだよ」  私は、ふふ、と笑った。  荷物を持ち、会釈をすると、一歩歩き出す。  雑踏に紛れる。いつもの街並みが少し明るく見えた。 「よいバレンタインを」  その言葉に振り返ると、そこにお婆さんの姿はもう無かった。  
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