いつまでも君と

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   *  夏の終わり。私は神妙な面持ちで本屋に立っていた。  緊張しながら、そろそろと売り場の奥へと進んでいく。雑誌コーナーをうろうろし、背差しの中からひとつの雑誌を引き抜いた。  それは、今日発売の文芸誌『(ドク)』だった。  大手出版社が発行している月間雑誌だ。主にプロの方の小説や書評を掲載している。紐で縛ってあったが、中を開かずとも私の目当てのものは表紙に書かれていた。 『(ドク) 長編小説コンテスト 大賞 二ノ宮(りょう)』 「うわ!」  思わず叫んでしまった。静かな本屋の中、客や店員が一斉にこちらを向く。私は小さく会釈をしながらそそくさとレジに向かった。  
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