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夏の終わり。私は神妙な面持ちで本屋に立っていた。
緊張しながら、そろそろと売り場の奥へと進んでいく。雑誌コーナーをうろうろし、背差しの中からひとつの雑誌を引き抜いた。
それは、今日発売の文芸誌『読』だった。
大手出版社が発行している月間雑誌だ。主にプロの方の小説や書評を掲載している。紐で縛ってあったが、中を開かずとも私の目当てのものは表紙に書かれていた。
『読 長編小説コンテスト 大賞 二ノ宮怜』
「うわ!」
思わず叫んでしまった。静かな本屋の中、客や店員が一斉にこちらを向く。私は小さく会釈をしながらそそくさとレジに向かった。
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