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俺の目の前に、亮(りょう)の凍死した死体がある。
そいつは生きているんじゃないか、って程何時も通りに見える。
だから、話しかければ起きてくる、何て希望がわく。
「なぁ─亮。……返事しろよ、バカ」
でも…亮は死んでいるんだ。
もう、死んでいるんだ。
俺が…あんなこと云わなけりゃよかった。
* * *
俺と亮が出会ったのは、随分早かった。
でも、会話をしたのはとても遅かった。
約6年経って、やっと会話をするようになった。それまでは知り合い以上、友達未満だった。
話し始めたきっかけは、寒さ我慢大会だ。
寒さ我慢大会は、あついのを我慢する大会のように、寒くなる道具─氷など─を使って誰が1番耐えられるか、という大会だ。
亮を参加させるために会話をしたのだ。
亮に矛先が向いた理由は、友達との話で
「なあ。寒さ我慢大会だってよ。誰か参加しねーか?」
「こんなに寒い冬なのに、さらに寒くするとか嫌に決まってんじゃん」
「そっかー。面白いと思ったんだけど」
「あ。ならあいつ参加させようぜ」
「あいつ?」
「ほら、ジャージ1枚しか防寒着着ないやつ」
「あー、あいつね」
「お前、同じ中学出身だろ?いってこいよ」
「えー俺?喋ったことないんだけど…わかったやるよ」
というように、他の皆より薄着しか着ない亮を参加させることになった。
亮は気が弱いから参加させるのは、簡単だった。
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