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そして大会当日。勿論俺と友達は来ていた。
「うわ、何あれ」
「氷めっちゃあるやん」
大会会場には、見たことがない機械や沢山の氷があった。
「人が少な過ぎっしょ」
変わっている大会なので、参加者も観客も2桁満たない人数だった。
「おっ。亮じゃん」
友達が亮に声をかけ、呼び寄せた。
「面白いの見せてくれよ?」
「ぜ、善処するよ」
俺は応援しようとしたけど、少しいじめたい気分になって
「死ぬまでやれよ?」
「えっ?わ、わかった」
優勝するか、負けていじられ続けるかに道をふさいだ。
『♪~♪♪~♪』
どうやら始まったらしい。
『こんなに少ないなら、ルールは定位置から動かずただひたすら我慢!じゃあ、準決勝えーとそこの君とその隣の人』
亮は1回戦─準決勝ともいう─で、相手は30代の太ったオッサンだ。
『準決勝は氷に囲まれ、扇風機の風を受けてください。じゃ、位置について。…よーいドン』
「始まったけど、何か地味だな」
「決勝で見応えなさそうなら、帰ろうか」
──それから3分
「も、もぅ無理」
オッサンが弱々しく降参した。
半袖半パンの上、あんな寒い中にいたら普通の日本人はすぐ音を上げる。
「ま、当たり前だな」
「相手との年齢差があるからな」
『では決勝戦です。決勝戦ではこの中に入ってもらいます』
そう云い司会者が指さした所には、小屋のようなものがあった。
『この中はマイナス40℃にしてあります。じゃ、入って入って』
亮と対戦相手の20代ぐらいの男性が小屋のようなものに入っていく。
『どちらか出てくるまで続けます。スタート』
始まった。しかし
「おいどういうことだよ。中が見えねーじゃねーか」
そう、中の様子が見えないのだ。
「もういい。帰ろうぜ」
「そうだな」
これじゃあ面白くないので、宣言通り帰った。
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