あらすじ

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 目覚めるとそこは屋外階段の踊り場だった。後頭部が鈍く痛む。しかし気力を振り絞り、波菜は部屋に戻った。  そこには血の海が広がっていた。真ん中には女手一つで育ててくれた母が倒れている。犯人は波菜を襲って逃げてしまった。  近くに住む再従兄弟の家に身を寄せながら、犯人を探すことを決意する波菜。再従兄弟家の娘・詩織も協力しながら、犯人を探すことを決意する。  手がかりは波菜の記憶にある犯人像。覆面を被り、茶色い革ジャンを着ていた。学校から帰り、倒れた母を見つけ抱き起こした時に、奥から現れた男。後日、「犯人は現場に戻ってくると聞く。一度現場に行ってみたい」という波菜の要望でアパートに戻ってみると、現場は黄色いテープが張られたままひっそりとしていた。そこで不審な影を見かけるが逃がしてしまう。  街頭での情報提供を呼びかけるチラシ配りをしていると、細身の青年がそのチラシを破り捨てた。青年は、「お前たちが俺たちを壊したんだ」と怒鳴る。そこで波菜は、初めて母がその青年――寛人の父と不倫をしていたことを知る。波菜の両親も父の不倫が原因で離婚しているだけにショックを受けた。  一方、警察は隣市に住む元夫、波菜の実の父を訪ねていた。警察は父が犯人だと決めつけているようだったが、波菜は離婚の原因となった父をよく思っておらず連絡は取っていなかった。  波菜とは違う高校に通う詩織は、学校帰りに波菜と同じキーホルダーをつけた少年と出会う。波菜の彼氏だと言う彼から、事件当日波菜が学校を早退していることを知らされる。そこで詩織は波菜の言葉を思い出し、急いで家に帰った。リビングで母の写真を見ていた波菜に事件当日のことを尋ねる。部活から帰ったら母が倒れていたと言う波菜。 「彼氏が、波菜は早退したって言っていたよ」 震える声で告げると、波菜はふっと笑いを漏らした。「犯人は現場に戻ってくる」それは、本当だった。
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