ロミオとジュリエットの顛末

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「今回の依頼は妙だったな」  先野はそう感想をもらした。白の上下は、相変わらずの服装である。 「依頼者の息子が急病で入院して、その足でここへ来たって話なんだが、まさかその息子につきまとっていると勘違いしていた女の父親が、例の人形探しの依頼者だったとは……」 「先野さんが両方の依頼にかかわったからこそ、それがわかったわけなんですよね」 「そしてお互いの親が相手を憎々しく思っていたというのも、な。解決手段は違えど」  片方は先野を頼り、もう片方は呪いの人形を頼った。 「もっとも、そんなことをせずとも、2人はそんな関係ではなかったのにな」 「息子さん、急病で入院したって言ってましたよね?」 「ああ、でも、今朝になって症状が良くなったらしい。母親はだからここまで報告を聞きに来れたというわけさ」
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