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デジタルカメラの写真をパソコンにコピーし、手帳を開いて、調査したメモをじっくりと眺める。
──こいつは難しい案件だな。
そうつぶやいたとき、
「先野さぁん」
思いがけず声がかかった。夜中であるが、コーヒーでも飲んで気分を落ち着けようと席を立ちかけたときだった。
振り返ると、マネージャーだった。
痩せた体をくねらせて近づいてきた。コロンの香が鼻をつく。
「ああ? こんな時間になんだい? 今時分なにか話をもってくるなんざ、ブラックな会社だぜ」
「それはどうもすみません」
ちっとも悪びれるふうもなく、
「明日、三条さんの受けた案件のサブに入ってくれない?」
マネージャーはさらりと要件を述べた。
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