71人が本棚に入れています
本棚に追加
/114ページ
何が起きたのかわからず、晃一は呆然とした。
「今のは何だ?」
「瞬間的に空間を移動した。一昨日もそうやって帰ってきたのだぞ」
説明しながら家に上がる。
「それって、力を使うんじゃないのか?」
晃一はヴィンセントの腕から下りようとしたが、そのまま二階の自室まで運ばれた。
「ああ。人間が走る程度にな。昨日は極限状態に陥ってしまったが、今は平気だ。たっぷりといただいたのでな」
艶やかに微笑まれ、晃一はわけもなく赤くなった。
「オレの血でよければ、いつだってくれてやる」
「お前の血だから欲しいのだ」
てらいもなく言われ、さらに真っ赤になった。同時にヴィンセントに求められているのだとわかり、たとえようもなく嬉しくなった。
「これからは少しずついただくことにしよう。吸いすぎると、今度はコーイチが倒れてしまう」
そう言ってベッドに寝かせ、首筋にキスをした。
「別に、平気だ」
病人扱いされては困ると起き上がりかけたが、「いいから寝てろ」と戻された。
「怪我人が無理をするな。ほら、体が熱い。熱が出てきたのではないか?」
そう言われては反論の余地もなかった。
「それに、ここならば二人でゆっくりと過ごせるだろう?」
「何……んっ」
最初のコメントを投稿しよう!