エトワル~夏の夜空に煌めく星は~

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 決まり悪そうに面を伏せる。晃一は気にもとめず、さらに尋ねた。 「自分の血を飲めば平気なのか?」 「あれはその場しのぎの方策だ。貴様の血を吸わないためのな」 「じゃあ、どうすればいいんだ」 「顔を近づけるなっ……人間以外の血かそれに代わるものを摂取すればいい」 「たとえば?」  ヴィンセントはうんざりした様子で、渋々と口を開いた。 「動物の血や臓器、葡萄酒などがそうだ」 「なるほど」  晃一は頷くと、台所に向かった。冷蔵庫からレバ刺しと赤ワインを取り出し、ヴィンセントに差し出す。 「これなら大丈夫か?」 「ああ……大丈夫だが」  ヴィンセントは呆気にとられて、お盆にのったレバ刺しと赤ワインのセットと晃一の顔を交互に見比べた。 「そうか。よかった」  そう言って安堵する晃一に、今度こそ呆れた。 「貴様、よくわからん奴だな。私が怖くないのか? 貴様ら人間の生き血を糧とする私をもてなすなど、愚かにも程があるぞ」  ヴィンセントに言われたくないと思ったが、黙っていた。 「別に、怖くない。ヴィンセントは節度ある奴みたいだからな。それに、相手が人間じゃないからって助けない理由にはならない。種族の違いに優劣の差はないって、じいさんから教わった」     
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