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「ただ、『感じる』のだ。直感としか言いようがない。人間が真に芸術と呼ぶものには魂がある。魂の込め方が強ければ強いほど、光を放っている。その光を『感じて』しまうのだ」
あの贋作にはそれがなかった。
上辺だけの技巧で欺けるほど甘くないのだとヴィンセントは言う。
人間でないヴィンセントが、人間の芸術を熱心に語るのが不思議だった。詳しくはないと言っても、絵画に対する強い思い入れを感じてしまう。それが『星屑散りて』とその作者に関係があるように思えた。
クロード・ダヴィッドとは、一体何者なのだろう。
光月堂に飾られている『星屑散りて』にはどんな意味が込められているのだろう。
聞きたいことが山ほどあった。
ヴィンセントに魅かれていると自覚したとたん、相手のことを何でも知りたいという欲求が湧いて出てきた。
それは初めて経験する欲求だった。
元々人付き合いが得意ではない上に、他人への興味が薄かった。というより、無意識のうちに他人へ近寄らないようにしていると言ったほうがより正確だ。
事故で両親を亡くした晃一は、親しい人たちとの別離が身に染みている。あの喪失感を味わうぐらいなら最初から独りでいい、と壁を作っていた。気心知れた数少ない友人に対しても、相手の領域に入るのも、また自分の領域に入られるのも内心怖かった。
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