エトワル~夏の夜空に煌めく星は~

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 そして、晃一に向き直るなり、すぐさまその場で土下座した。 「マジで申し訳ないことをしたッ! このワビは必ず入れさせてもらう」  我に返った晃一は呆気にとられて東郷を凝視した。まさか、東郷が土下座までして謝罪するとは思ってもみなかった。ヴィンセントも目を丸くしている。 「あの美濃焼は桃山時代の志野。マニア垂涎の品だ。額にして六千万は下らねえ。あいつらのオヤジにそれ相応の品を用意させる。それで勘弁してくれねえか」  晃一はスッと冷めた気分になった。先ほどの激情が嘘のように引いていく。 「もう、いい」  壊れた茶碗は知り合いの修復師に直してもらえばいい。けれど、あるべき姿に戻っても、傷ついたことに変わりはないのだ。  他の品を持ってこられたところで、祖父が気に入らなければ意味がない。 「……帰ってくれ」  のろのろと、体を引きずるようにして歩き出す。東郷を見返ることなく、晃一は重い足取りで店に戻っていった。  店に戻った晃一は、床に散らばった破片を一つ残らず拾い集めた。冬治に事情を話せば腕のいい職人を紹介してくれるだろう。  それだけが唯一の慰めに思えた。  ヴィンセントは東郷とまだ話をしているようだった。車が走り去る音と同時に、ようやく店に戻ってきた。     
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