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ジャンヌは祖国を愛する平凡な少女に過ぎなかった。ヴィンセントとの出会いが、彼女の運命を大きく変えた。
ヴィンセントの不思議な力を借り、ジャンヌは祖国の危機を救おうと尽力した。そんなジャンヌを、周囲の人間は『神の声を聞く少女』と崇め、時に畏れた。
「我々は……人間よりも、感覚が……鋭い。遠く離れた敵の動きを……機敏に、察知するなど…………わけないことだ」
その力を利用し、ジャンヌは敵対していたイギリスを退け、祖国を勝利へと導いた。しかし、祖国の英雄から一転、その後の彼女を待ち受けていたのは処刑による死だった。
「祖国を愛した少女は……祖国によって、殺された。私は…………彼女を……ジャンヌを救いたかった」
けれど、ジャンヌは拒んだ。
これが私の運命なのだと受け入れて。
「私には……わからなかった。何故、死を急ぐのか……限りある命ならなおのこと、何故限界まで生きようとしないのか。ジャンヌを失った私は……疑問を抱えたまま、世界を、さすらううち、存在すること自体……疲れていた」
そして、何百年と経ったフランスで、クロードと出会った。
「ジャンヌの話をしたとき、クロードが……言ったのだ。自分には、ジャンヌの気持ちがわかる気がする、と」
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