71人が本棚に入れています
本棚に追加
/114ページ
ポンッ、と小気味いい音を立てて、夏の夜空に花が舞う。朱、藍、緑、橙と彩り豊かに小さな花や見事な大輪が一瞬咲いては散っていく。
その光がヴィンセントの白い肌に映え、晃一はその横顔に見入っていた。
「美しいな」
「ああ」
ヴィンセントの呟きにつられて頷く。
「私ばかり見てどうする」
ヴィンセントが苦笑した。
「花火はあっちだぞ」
「……オレは、ヴィンセントを見ていたい」
「コーイチ?」
うっかり本音を言ってしまった。顔が熱くなる。けれど、一度口を開いてしまうと止まらなかった。
「これからもずっと、ヴィンセントと一緒にいたい。同じ時間を過ごしていきたい」
「コーイチ、それは」
「わかっている。オレとヴィンセントでは時間の感覚が違う。クロードのことを誰よりも大切に想っていることも知っている。だけど、もう一度だけ言わせてくれ。ヴィンセントが好きなんだ」
一気に思いの丈を叩きつけた。
二度と告げることはないと思っていたのに。
半分自棄、半分玉砕覚悟の二度目の告白である。
ヴィンセントは考えあぐねた様子で尋ねた。
「それはつまり、私を恋い慕っているという意味か?」
改めて言われると恥ずかしいが、晃一は首肯した。
「前にキス……したし、好きだとも言ったじゃないか」
どうやら丸っきり伝わっていなかったらしい。
最初のコメントを投稿しよう!