0人が本棚に入れています
本棚に追加
(先ほどの場面とのつながりはありません)
目覚めると、そこは
「あいたたっ、首、首ぃ……」
「なんでそんな首が痛くなるような体勢で、しかもこんなところで寝られるんだ……」
屋外階段の踊り場でした。
小学生のとき、明史くんがここから眺める景色がなんとなく好きだったんだって。
ここは私たちが通っていた小学校で、プレハブ教室の二階にある木工教室の入口のところ。ちっちゃなひまわり畑やプールへの入口になっている石の階段、校舎も見えるし威圧感たっぷりの雲梯も二つしっかり見えます。私あれでまめ作ったしくしく。
鉄の黒い階段。上り下りする時の音がちょっとくせになる。さびちゃってるところも結構あるけどそれでも最近塗り直されたみたい。まだまだ現役だね。
「えへ、なんか気持ちよくなっちゃっていたたっ」
「大丈夫か?」
「うん、だいじょぶ」
私たちは木工教室に入るドアにもたれかかっ
(……あれっ? 私の首さんは今……)
ていたと思ったら、後ろにいた明史くんにもたれかかっていたではありませんか!
「わひゃ!」
私は急いで明史くんから離れました。目も覚めました。
「あ、明史くん、あのその……えっと……」
明史くんもちょっとだけうつ向き角度。
「つ、つかぬことをおうかがいいたしましちゃいますが、えっと……い、いつから、私、明史くんにもたれ……て……?」
明史くんは顔の角度を上げましたが、私よりもっと上を見ています。
「……雪が寝こけてから、ずっと」
「……ぁぅぁぅ……」
これは照れます。テレテレです!
「……ぷっ、あはは! あはははっ!」
突然明史くんが笑い始めました!
「な、なによなによー! そんなに笑わなくたっていいでしょーぷんぷん!」
「あっはは! いやいやそうじゃなくってさ、くくっ」
明史くんなんてぷんぷんです。
「雪が寝始めた瞬間の、がくってもたれてきたのを思い出したらさ……ぷくくっ」
「もぉーっ! 明史くんなんてぷぷんのぷんぷーん!」
そして私たちは笑いながら階段を降りました。この階段を降りる音はちょっとくせになるけど、今のこの楽しい雰囲気はずっと続いてほしいな。
最初のコメントを投稿しよう!