開拓の時

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秋か訪れた頃には何とか住む場所も確保し、匠は冬支度を皆に命じた。 蝦夷地の冬は早い! 漁に出る者、狩りをする者、獲物を捌き保存食に加工する者、獣の毛皮で羽織りを作る者、青菜を塩漬けにする者、皆が冬を越す為に頑張って働く 匠は鍛冶場で薪ストーブを作る。 ストーブと共に鉄のヤカンなども作り冬に備える。 薪は開拓時に伐採した木で建築に向かない木を利用して薪にしてある。 薪ストーブの上で簡単な調理も出来るように工夫してある。 匠は薪ストーブを宿所の部屋に一台づつ設置した。 奥州からの船が来て冬を越す分の食料などを港におろし、宿所の横の倉にしまう。 やがて来る冬の準備は万全である。 冬の間は、女たちは機織りや編み物、裁縫などのの手芸に精を出し、男どもは鍛冶場仕事や指物作り、木工などの仕事をする。 室蘭の砂浜の砂は砂鉄が多く鉄には困らないので、大半の男は鉄の精製や鉄製品を作る作業を手伝う。 匠は南部鉄器の職人も数名連れてきているので、そうした鋳物なども作っている。 先の尖った剣スコップや先の平たい角スコップ、鶴嘴なども冬の間に作ったのである。 鍬などの農作業の道具は来るときに持ってきたが、更に数を増やしておく。
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