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三日目からは、朝から接待漬けが始まる…
織田の家中の者が入れ替わり立ち代わり、義昭一行に挨拶をして酒をつぎ芸をする…
芸と言っても所詮素人…
中には観られた物ではない物もあり義昭は若干呆れていたが、田舎者が健気に己を楽しませようと必死なのだと自分に言い聞かせ欠伸を噛み殺しながらそれを眺める…
夜は夜で、踊り子などを舞わせ宴があったり、長良川で鵜飼いの催し物があったりした。
それから十日が過ぎて…義昭一行は接待漬けの毎日に疲れが見えてきた頃、不意に信長が挨拶に来たのであった。
「わざわざの御来訪有り難く存ずる!」
正装の信長は下座で平伏をする。
「織田殿、数々の御接待、痛み入ります」
義昭の一段下横に座る細川藤孝が信長に頭を下げて礼を言う
「お側の方に申し上げる!田舎故に不便も多いかと存ずる!御用などござったら接待役になんなりと申し付け下され!」
「余は満足である!」
「ははっ!」
「田舎だが、余はこの国を大変気に入った!しかし余が住むにはこの屋敷では何かと不便である」
「お側の方に申し上げる!」
「良い!直答を許す!」
「では!将軍の御舎弟様は滞在ではなく移住を希望されておられまするか?」
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