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京の都の入口には町の衆が織田軍を出迎えていた。
その先頭には信長の息子織田信忠が信長を出迎える。
「父上!御苦労様でございました!」
「おぉ!信忠!出迎え大義!」
「各寺などに宿所の手配は済んでおりますれば!」
「で、あるか!」
「はっ!」
「朝廷の方は?」
「既に手配済みでございます!二条の地に縄張りを始めてござる!」
「二条の地?」
「藤沢殿からの御指図にて、将軍となるにはそれなりの城を用意せねばとの事にて!」
「それも手配済みか?」
「はっ!」
「信忠、その手配、何時からやっていた?」
「一年前には既に…」
「あやつの頭はどうなっておるのか…」
「段取り八分でございましょうや?」
「たわけ!上洛を決めたのは先月!段取りもあるまい!?」
「父上がどう動くのか察して準備する事こそが家臣の勤めと申しておられましたが?」
「で…あるか…」
「言われてやる様では、時既に遅し…とも申しておりました。」
「うむ…」
「父上の声は聞こえるが、草民の声は聞こえぬ故察する心を学ぶよう拙者に教えて下さりました」
「草民の声…」
「それを察せぬ様では上に立つ資格なしと…」
「おぬし!良い師に仕えたのう!」
「父上のお陰でござれば!」
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