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その事を匠に報告する徳兵衛
「肉などは食料にもなるし皮も何かと使えよう?骨は煮れば出汁が出る!出汁を取ったら焼いて畑に撒けば土に栄養がつく!良い事ずくめの獣の来客よ」
笑いながら言う匠
徳兵衛はそこまで匠が考えていた事に驚きを隠せずにいた。
「猪の肉は味噌や酒粕を混ぜた物に漬けておけば日持ちしよう!捕まえ過ぎた時には燻製と言う保存方法もある故、その方法も教えてやろう!」
匠は罠に使った竹の余りで竹ひごを作りながら徳兵衛に言う。
話しながらも手を留める事がない匠、
徳兵衛はその手の動きの早さ内心驚きながら
「…それは有り難い事にございます!」
匠は竹ひご作りをやめて徳兵衛に筆記用具を用意して貰いさらさらと何やら描き始めた。
「このような物を作り丸一日燻せばかなりの期間肉は持つ筈だ!」
そこには冷燻の方法とその行程が図解付きで記されてあった。
徳兵衛はその解りやすい図面をみて益々匠の知識の豊富さに関心する。
「しかし、もうすぐ夏が来よう!この方法は秋以降に行い冬の食料にする事を薦める」
「冬の食料に…でございまするか?」
「左様!秋以降は獣も冬支度で食料を欲する。故に獣は今以上に畑を襲おうと躍起になるであろう!」
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