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京の二条に城が完成したのが上洛を果たし二ヶ月後の事であった。
城に使う材は全て加工済みで組み立てるだけだったので築城は楽に終ったのである。
信長は軍を各武将に与え丹波丹後を攻めさせ自身は二条の城の采配にあたり時を過ごした。
藤沢軍は河内を攻略後、和泉も降して京の地で信長と合流。
匠は二条の建築現場で欄間を彫っていた。
「政の事より、そうしている方がそちは嬉しそうだのぉ?」
「木材の香りがそうさせるのでしょう…この香り!落ち着きませぬか?」
「うむ!確かに、木の香りは落ち着くのぉ!」
「信長様も何かに傾倒なさってみては?」
「わしは作るより使う方が向いておる!」
「で、ございますな!」
「して…今後はどうする?」
「城が完成したら直ぐに朝廷から使者を迎え御舎弟の将軍職継承が許されます!そうしたならば後は我らは関知せぬ方が宜しいかと」
「都の護衛など頼まれたらなんとする?」
「送り届けるまでと証文もござれば…」
「そのような文言を…」
「天皇家、公家、将軍家には都でお健やかに過ごされて頂ければ宜しいかと!回りはだいたい織田に守られておりますれば」
「そうか!京の護衛は必要なしか!」
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