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「おぬしはそんなに子供好きであったのか?」
「吉法師様の腹心は歳が近い方が良いと思いますれば…」
「なっ!…おぬしはそこまで…」
「打てる布石は打つに限りますので…」
「笑ったりして悪かった!おぬしの忠義を…」
「拙者が勝手に思うたまでにござれば…それに子を早く作れば、拙者も早く隠居出来ると言うもの…」
「おぬし…その歳でもう隠居の事を考えておるのか…」
「段取り八分でございますれば!」
「して!誰を国持ちにするのか…案はあるのだろう?」
「…既に纏めて記してありまする」
「早くそれを見せぬか!勿体つけおって!」
「…越権行為でござれば…参考までにして下さりますよう…」
「解っておる!だいたい…おぬしが口を出して文句をつける者が織田家に居るとは思えんがなっ!」
「文句は無くとも不満に思うお方が居るかも知れませぬ…」
「そんな声があるのか?」
「声が出てきてからでは、遅うございます…人は他人を羨む生き物でござれば…」
「嫉妬…か…」
「何よりも恐ろしい物でございます…」
「で…あるな…」
こうして話している間も匠の手が止まる事はなく…
欄間を彫り終える匠であった。
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