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評定では織田家中総ての将に漏れなく仕事が与えられた。
攻略戦に赴かない者たちには、信長の直轄地での開拓や町作り、城も新たに建築するのでその手配や手伝い、そして新たに織田領となった国を繋ぐ道普請等…
増兵もするので、武具等の調達もあり、戦に赴かない者たちの方がどちらかと言えば忙しく働かなければならない。
評定が終わると…
先ずは国持ちとなった、丹羽、安藤、稲葉氏たちが各々匠に近付き耳打ちをする。
「内密に至急相談したき事有り、時間を作ってくれないか?」
と言う打診である。
匠はその申し出を二つ返事で快諾する。
立場で言うと匠の方が下なので各々の屋敷を訪ねるのでと言うと…
「頼んだのは当方なので…忍んで会いに行きたい」
三者ともに同じ返事であった。
匠は三者に
「都合がつき次第お知らせ致します」と返事をして城下の屋敷へと帰宅した。
評定にて、新たに織田家に加わった明智光秀を伴ってである。
匠の申し出にて、明智光秀は匠の与力として匠の配下扱いとなったのである。
光秀はその決定に些か不満であったが、新参の分際でと不満を押さえ匠の配下となったのであった。
織田家中において、匠の立場は表面的には中堅である。
その者の下につくと言う事は更に下の立場である。
出世欲の強い光秀にとっては一つの屈辱にも等しい人事である。
だが…光秀は、まだ匠の真の実力を知らない…
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