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「明智殿、さぞや無念でござろうが、暫くは我が元にて拙者の遣り様を覚えて頂きたい」
屋敷に戻り、居間に座ると同時に光秀に言う匠の言葉…
内心では…若者の分際で何を偉そうにと思いながらも光秀は軽く頭を下げ
「どうぞ…よしなに、お引き回し願いたい」
「うむ!暫くはちと忙しくなると思うが宜しく頼む」
「ははっ!」
忙しくなると言う匠だが…光秀の記憶では、評定において唯一…藤沢匠の名は呼ばれなかった…
仕事も与えられない中堅所の藤沢家が忙しくなるとはどう言う事なのだろうか?
眉をひそめる光秀であった…
「殿、お帰りなさいませ!」
「おぉ!龍興、紹介しておこう、わしの与力となった明智光秀殿だ!あぁ!知った仲であったな!」
「これはっ!龍興様…」
「明智殿、様は要りもうさん!今は藤沢家の家宰を勤めているので」
「…そうでありましたか…」
「龍興、取り敢えず銭を一万貫ずつに分け三万貫用意せよ!」
「畏まりました」
「用意出来たら、丹羽家へ使いを」
「用件は?」
「どうぞと一言」
「御意」
「丹羽殿が忍びでやって来るから茶室へ案内を頼む」
「はっ!」
「一万貫は丹羽殿に持たせるから運ぶ者の手配も頼むぞ」
「分かりました」
「それが済んだら次は稲葉殿、安藤殿と続く」
「承りましてございます。」
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