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「先ずは一服…」
光秀は丹羽長秀の前に茶碗を差し出す。
「うむ!いただこう!」
長秀も慣れた手つきで茶碗を持ち茶を喫する。
「流石は明智殿、良い手前である」
会釈で応える光秀
「しかし…この茶碗…」
「気に入りましたか?」
長秀は最近茶事に傾倒していて茶器には目がないのであった。
「素晴らしい色だ!口当たりももったりとして好みだし…何よりこの福々しい形が良い…」
「そんなにお気に召したのでしたら、どうぞ!お持ち帰り下さい」
「よっ良いのか?」
「拙者から国持ちとなられた祝いに贈りましょう!」
「これは…有り難い!」
「明智殿、箱を」
光秀はその器が入っていた箱を長秀の前に差し出す。
「虹色茶碗…!藤匠の作ではないかぁ!安くとも百貫はすると言う…」
「国持ちともなれば、必要になりましょう!遠慮なさらずに!」
「有り難い!誠に嬉しい贈り物ぞ!」
「そう言って頂けましたら贈りがいがあると言う物でございます。」
「うむ!うむ!」
「して…拙者に相談とは?」
「そうじゃ!肝心要を忘れる所であった。」
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