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「この度の件なんだがの?」
「はい」
「いきなりの国持ちとなり…先日の上洛の折りの出費も重なり…」
「分かりました用立て致しましょう」
「分かってくれるか!」
「お幾ら程、用立て致せば?」
「三千…いや五千貫程…それだけあれば何とかなる!」
「では一万貫程用立て致しましょう」
「いっ一万貫!!」
「大名となられる御家がカツカツでは仕方無いではないでしょう?返済などはお気に為さらずとも結構ですので!」
「流石は藤沢殿…」
「つきましては…」
そんなやり取りが、丹羽氏の後、稲葉氏、安藤氏と続いた。
三者ともに匠から茶碗が贈られ一万貫の銭を借りていったのであった。
その見返りではないが…
大和、丹波、丹後に「藤徳屋」の支店が開かれる事が決まり各家の御用達となったのである。
三者ともその申し出は願ったり叶ったりである。
何故ならば「藤徳屋」は他の商家の物品より安値で取引が出来るからだ。
日用品は匠の方針で「薄利多売」で商っている藤徳屋である。
光秀は三者とのやり取りの後に匠に聞いてみた。
「やはり…借財の見返りとして藤徳屋を推すのでござるか?」
「あぁ!藤徳屋はわしと先程紹介した藤倉徳兵衛とで始めた店なのだ!藤徳屋の主、小兵衛は徳兵衛の倅が勤めておる」
「なっ…」
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