龍興のけじめ

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「それは…」 「今の主が、わしを教え導いてくれたのだ!わしは失った物より、得た物の方が大きくそして尊いと思うておるのだ!半兵衛!おぬしはまだ生きている!生きている限り人に民に尽くすのが武士だ!」 「龍興様…」 「なぁ!半兵衛、この通りだ!」 土下座をする龍興… 「お手を…お手をおあげくだされ!」 「我が主はおぬしを欲しがっておる!わしとともに主に仕えてくれ!」 「某が信長公に…」 「いや!信長様ではないぞ!」 「えっ!」 「わしが仕えておるのは織田家部将格の藤沢匠様だ!」 「藤沢…匠………!!」 「そうだ!稲葉山城を無血にて奪った男だ!」 「そんな…なぜっ!?」 「なぜ?男が男に、その志しに惚れるのに理由は要らないであろう!無駄な命を散らさない為の最善の策におぬしは心を動かされなかったと申すか!?」 「敵ながら…見事な策であるとは…正直思いましてござる!」 「惹かれなかったか?」 「…」 「良い!わしはもうおぬしの主君ではないのだ!あの遣り様に惹かれぬ者は武士に在らずとわしは思う!」 「確かに…天晴れとしか…」 「しかし、あの方の才はあんな物ではないのだぞ?半兵衛」 「……」 「あれは…最早、神の域…わしは仕えていて、まじまじと思うたわ!」
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