龍興のけじめ

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「嘘だと思うておるのか?」 「いいえ…」 「一緒に来て確かめて見よ!嘘だと判断したならば何時でも立ち退けは良いではないか?それとも…己の才以上の才を見るのが恐いか?」 「…お供つかまつろう!」 「その意気や良し!」 龍興は半兵衛の瞳の光が蘇ったのを感じた。 龍興の胸の中にずっと残っていた竹中半兵衛重治の消息… そんな龍興の心中までも…読み抜く主に手を合わせたくなる思いと、けして…あの御方には嘘も隠し事も出来ないのだろうと思いながら… 龍興はならば隠し事などする必要なく、ただひたすらに主、藤沢匠に仕えて行こうと誓うのであった。 龍興はやっと何かから脱したような…そんな清々しい気持ちで岐阜城下の藤沢邸に帰参し主に報告をする。 「斎藤龍興、主命を果たし戻りました!」 「うむ!龍興、良い顔になったなっ!大義であった!」 「ははっ!」 「半兵衛殿は…まだ脱しきれてないようだな…」 「お久し振りでござる!」 「覚えておられたか?」 「城を受取りに参られたそのお顔…忘れた日はございませなんだ…」 「顔色は随分と良くなったようですな!病からは脱したようで何よりだ!」
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