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「ならば…半分は返上して…」
「殿は受け取らん…その分働けと言うだけだ」
半兵衛は、もう既にそう言う申し出をした事をその言葉で察する。
「わしは毎日…そんな殿をどうすれば楽をさせられるのかと考えておるが…その策が見付からんのだ…」
「……」
「半兵衛…わしを助けてくれっ!どうすれば殿の力になれるのか…教えてくれっ!」
龍興の心からの懇願…
半兵衛の胸を熱く打つ!
「龍興殿!先ずは、この藤沢家の事を全て教えて下され!先ずは知らねば何も出来ませぬ!」
「おぉ!分かった!半兵衛!覚悟せよ!この藤沢家は普通ではないっ!今までにない遣り様をなさる殿だから常識では計れぬぞ!」
「元より承知!あの龍興殿が…こんなになったのですから!」
「はっはっはっ!言うのっ!半兵衛!はっはっはっ!」
多面的な政策が為されている織田家…
その全ての政策に金銭面、技術面で影ながら尽力する藤沢家…
匠は勿論の事…斎藤龍興、山内一豊、竹中重治は休む間もなく働き続ける。
北は越中…南は志摩まで走り回る日々…
匠は岐阜を動けない…
日々、匠を頼りに訪ねてくる者が後をたたないからだ…
来客がない時には、匠は筆をとり何かをしたためている。
半兵衛は…匠の遣り様に心底驚き、そして感銘を受けそして尊敬の念を抱く!
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